CGと実写素材合成時のカラーマッチ
二つ以上の素材を合成するときには違和感のない合成が必須だ。
今回は違和感のない合成を行うために重要なカラーマッチを重点に置いて私個人の備忘録としても記していく。
“カラー"マッチと言ってはいるが合成において実際重要なのは輝度の調整だ
ざっくり具体的には、
- 後ろの素材(背景)とそれに重ねる素材(前景)の輝度を合わせる
- RGBそれぞれの輝度も調整する
これを行うだけでかなりいい感じの仕上がりになる
背景と前景の輝度を合わせる
輝度を合わせるとはどういうことかさらにかみ砕いていうと、
- 背景の1番暗いところと前景の1番暗いところを合わせる
- 背景の1番明るいところと前景の1番明るいところを合わせる
これだけだ。つまり二つの素材の明るさの範囲が一緒になればいい。
実際にやっていこう。
「どこが一番暗いとこだかわかんないようう」という人も安心してほしい。AfterEffectsにはいいやり方がある。
実際の制作画面を使って説明していく。最下2つのレイヤーしか現時点では使わないので、ほかのレイヤーは無視してもらって構わない。
MONSTERの缶とデスクトップが実写素材の背景で、横にいるモンスター(判別しづらいので”門ちゃん”と呼ぶことにしよう)がCinema4Dで門ちゃんのみをレンダリングした素材である。
門ちゃんのレンダリング時に光源状況も考慮してレンダリングしたので割と違和感はないほうではあるがまだ少し門ちゃんが浮いて見える。
素材の明るい部分、暗い部分を知るために白黒のわかりやすい状態にしておく。
新規で調整レイヤーを作成したら調整レイヤーに「色かぶり補正」エフェクトを適用する
ここで次に使うエフェクトが「抽出」エフェクトだ
「抽出」エフェクトを背景レイヤー(ここでは実写素材)に適用する
①前景をいったん非表示にしたら、抽出のブラックポイントを上げていく
そうすると1番暗い部分が透過されていくだろう
この透過されたキーボード下部分が背景の1番暗いところだ
②ここでいったん抽出エフェクトをオフにして、情報パネルが見られる状態にして、1番暗い部分にカーソルを持っていく
黄色い部分にカーソルを持ってくと情報パネルで大体「4~10」あたりの数値だ。
前景でも①②の同じ工程をする
前景の1番暗い部分は「4または5」
かなり近い数値なので見本としてはわかりにくいがこのまま進める。
実際に輝度の調節をするのは「レベル補正」エフェクトだ
今回は前景を背景の輝度に合わせるのでレベル補正を門ちゃんに適用し、黒出力レベルを5.0にした
「1番暗いところの数値の差が5ぐらい」だから5.0という数値は納得いくと思うがなんの数値をいじればいいのかわからないと思う。
判断基準は数値が「0~255」に収まる範囲でいじることだ
パラメーターを動かしてみて、自分が明るくしたいのか暗くしたいのか、判断基準にあてはめるとおのずとどれをいじればいいかわかるはずだ。
ではこの作業を「1番明るいところ」でも同じように行う。
- 背景の抽出のホワイトポイントを下げていく(この時間違えてはいけないのは光源の場合は含めない)
- 透過部分の数値を見る
- 前景にも同じことをして
- 前景のレベルの数値をいじる
ここまでしてもまだ納得いかない場合(たいていの場合そうだろう)「ガンマ」の数値をいじる
しかし中間調は数値による判断ができないため作業者のセンス次第ということになる。
だが暗いとこと明るいとこが数値で分かるだけだいぶありがたい。
最終的にこのような値になった。
今回は素材が比較的違和感がなかったため小さな数値になってしまったが100とかいじることも全然あると思う。
RGBチャンネルを合わせる
大きく見出しを作ったがやることはこれまでと同じだ。
2個目の「レベル補正」エフェクトを前景に追加適用し、「チャンネル」からRGBを選択し、コンポジションパネルも操作しているチャンネルに切り替え、数値を見て判断。(ガンマは感覚!)
この時のポイントは人間の目の特性上「緑チャンネル」から輝度調整していくことだ。ついで赤、青。
まとめ
ながながと書いているせいで後半失速してしまったが、これから話す本質的なところを理解できれば様々な状況に対応できるだろう。
違和感をなくしたければ輝度の下限・上限を合わせる
もうこれだけ理解できていればいいんじゃないだろうか。
AfterEffectsでの細かい操作方法が以上で分からない場合は佐藤智幸著「AfterEffects NEXT LEVEL 豊富な作例で学ぶ映像制作プロテクニック」を参考にしてほしい。
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